「価値観」形成のプロセス
こんにちは。よしひろ(@dandoreator) です。
前回は「性格は変えられるのか」というお題で記事を書きました。
前回は価値観の定義を「自分の意思決定における判断基準」 としましたが、今回は「価値観を変えられるのか?」というお話をしていきたいと思います。
1、価値観とは何か??
価値観とは文字通り「自分は何に価値を置くか」を判断する基準です。
好ましいと思う物や言動、嫌悪する物や言動は何なのかを自分の中で決定していきます。
例えば、サイクリングが好きであれば自転車選びや自転車を漕いでいる時間に最上の価値を感じますが、運動嫌いの人からすれば全く価値のある行為ではありません。
また、酒やタバコに価値を置くひとにとってはこれらを摂取する行為は価値のあるものですが、健康志向の人からすれば全く価値のある行為ではありません。
このように物や行為の価値は変わらないにも関わらず、人によって感じ方が違うのはそれぞれに違う価値観を持っているからです。
価値観の形成においては環境要因がほとんどを占めるといわれています。性格の場合は遺伝子要因が半分、環境要因が半分とご紹介しましたので、価値観の方が環境に左右されやすい事がわかります。
「意思決定の判断基準」と書きましたが、例えば日本でありがちな「対立する=悪い」という価値観は教育によって植えつけられてきた価値観で、欧米であれば個々人の意見が対立することは当然で、それを解決するために「議論」という手法をとります。
日本人は議論が苦手といわれますが、これは議論に発展する前段階の意見の対立をそもそも嫌うという価値観によって形成されてきました。
今後、多様化する社会にあっては意見の違う人とも議論していかなければならない機会は増えていくと思いますので、時代の流れとともに「日本人=議論は苦手」というイメージも払拭されていくかもしれません。
このように価値観も時代の流れや所属する社会・コミュニティによって大きく左右されます。次はその形成プロセスをご紹介していきます。
2、価値観の形成プロセス
価値観の形成には所属する社会・コミュニティの影響が大きく作用しますが、基本的には繰り返しの認識によって深められていきます。
例えば、30年前の教育現場(スポーツの現場)では「部活中に水を飲むなんて根性が無い証拠だ」という論理がまかり通っていました。
これは、スポーツの勝敗には技術力だけでなく精神力(根性)も重要で、精神(根性)を鍛えるには我慢する力が必要だと考えられていたからです。
この価値観からいえば脱水症状を起こすのは根性が足らないからであり、精神的に未熟者だと考えられていました。
このような指導を小学校から高校を卒業するまでの12年間受け続けた人の価値観はどうなるでしょうか。「成長の為には苦労が必要で、練習の最中に水を飲むなんてけしからん」という考え方となります。
これが本人でとどまれば良いのですが、価値観はコミュニティを介して次の世代に繋がっていきます。先輩が後輩に水を飲まないようにするのは、自分たちがそうされてきたからであり、「自分たちがやられてきた=良い事だ」と信じているからです。
近年はスポーツ科学が発達したおかげで「科学的根拠のない根性論=ナンセンス」という価値観が一定の評価をされるようになった為にこのような振る舞いは減ってきましたが、これも社会の流れによって価値観が変化する一例です。
3、価値観の連鎖
このように価値観は時代の流れによって変化していきますが、古い価値観を持った世代が大勢を占めているとその価値観が連鎖していきます。
特に職場のような閉鎖的な環境では、仕事の進め方や指導方法などは上司や先輩の影響を受けて色濃く受け継がれていきます。これが「企業文化」です。
転職をすると企業文化の違いに驚かされますが、閉鎖的な環境であればあるほど価値観は連鎖しやすいため、多様な価値観を認める必要があるのであれば、様々なバックボーンを持つ人材を取り込んでいく必要が出てきます。
社会全体で考えれば、多様であるほど持続可能性が高まる(持続するためのアイデアが集まりやすい)ので、多様性を重視していく方が好ましいと考えていますが、一方で人種などに由来する価値観があるのも事実です。
人種差別などに代表される様々な差別は、価値観の相違が引き起こした最も悲しむべき事態です。
これからの時代は価値観の相違から人と人が傷つけ合うような状況が少しでも減っていけば良いと思っていますし、次回は人と人が傷つけ合う要因である「コア・ビリーフ」についてご紹介していきたいと思います。
それでは今日はこのあたりで。
またお会いしましょう。
<今日の名言>
失敗とは、より賢く再挑戦するためのよい機会である。
まじめな失敗は、なんら恥ではない。
失敗を恐れる心の中にこそ、恥辱は住む。