Release 〜ココロを解放するWebマガジン〜

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人間の行動はスキーマによってパターン化されている?? 

こんにちは。よしひろ(@dandoreator) です。

 

今回は「スキーマ」についてご紹介していきます。

スキーマは心の構造であると認知療法の先駆者であるアーロン・ベックが提唱しています。

 

1、スキームとよく似た概念「スキーマ」とは?

 

スキーマはスキームという言葉とよく似ていますが、スキームは「枠組みを持った計画」、スキーマは「図式・計画」という意味です。スキームは完成した枠組みや計画を指すのに対し、スキーマは心理学や哲学、コンピュータサイエンスの一定義として取り扱われています。

 

スキーマは心理学上では「思考や判断のパターン」とされており、ある状況が発生した時に、どのように対処するかを決定したり、初めての状況に遭遇した時にもどう対処すれば良いかを推論で決定したりする事ができます。

 

例えば「電車に乗る」という行為は、初めての場合はどのように乗車券を入手してどのホームに行けば良いか、逐一確認しなければなりませんが、2回目以降は確認する機会も減ってきます。毎日乗る電車であれば1週間もすれば何の確認もせずに乗る事ができるでしょう。

 

このように慣れることによって「判断」の回数は減っていきます。

同様に、電車に乗り慣れていれば初めての路線や違う鉄道会社の路線でもおおよその乗り方を推測する事ができるため、やはり「判断」の回数は減っていきます。この慣れがスキーマの正体です。

 

 

2、4種類のスキーマ

 

スキーマは4種類に分かれており、無意識に私たちも生活する上で活用しています。

その各種類についてご紹介していきます。

 

1、自己スキーマ

自己スキーマは自分自身に対するイメージ(セルフイメージ)です。

自分が外交的だと思えば外交的に振る舞い、内向的だと思えば内向的に振舞います。人は、自分のイメージ通りの人間になっていくと言われていますが、まさに自己スキーマによって自分自身をコントロールしているといえるでしょう。

 

自分を変えたいと思う人は、まず自己スキーマを変えていかなければなりません。自己スキーマは幼少期より形成されてきた根本となるスキーマなので、他のスキーマを変えていくよりも多くの努力を必要としていきます。

思考を変化させて

 

 

2、人スキーマ

自分のこれまでの経験から、よく知らない相手の人格を類推するのが人スキーマです。

初対面の人と会う時の「第一印象」がこの人スキーマの正体と言えるでしょう。

 

相手の正体に関わらず、自分が「きっとこんな人だろう」と想像し、想像通りであれば「やっぱりそうだ」と感じ、想像を外れると「まだ正体が明らかになっていないだけだ」と構えて見てしまう。そんな認識をしてしまうのが人スキーマです。

第一印象で相手と深くコミュニケーションを避ける傾向がある方は、人スキーマを矯正することで人とのコミュニケーションが更に円滑になっていくでしょう。

 

3、事象スキーマ

世の中で起る様々な事柄に対して、どのように対応するかを類推するのが事象スキーマです。先ほど挙げた「電車に乗る」という例えも事象スキーマの一つです。

 

仕事をするのも、買い物をするのも、スポーツをするのにもいちいち悩まなくて済むのは、事象スキーマによってそれまでの経験から行うべき行動をスムーズに判断し、実行する事ができるからです。

日常生活をスムーズに進める為に必要である一方で、新たな挑戦や活動に消極的になってしまう事は自分自身の可能性を狭めてしまいます。経験したことのない事に取り組む事で自分の事象スキーマを広げていきましょう。

 

4、役割スキーマ

社会の中で生きる為には様々な役割を求められます。それをこなしているのが役割スキーマです。

年代に応じた役割や職場であれば社員としての役割、最近は反対意見が増えてきた性別による役割、地域活動やボランティアでの役割など、人は様々な役割を抱えていきています。

 

「職場での顔」「家庭での顔」という言葉がありますが、まさにこれは役割スキーマの本質を言い表していると言えるでしょう。

 

一方で、役割スキーマが環境を超えて現れるケースがあり、職場での顔を家庭に持ち込んだり地域活動に持ち込んで周囲と軋轢を生んでしまうこともあります。

「○○すべき」という決めつけは、この役割スキーマを他の人に押し付けてしまうことで発生する場合が多くあります。自分の考えを押し付けすぎないようにご注意ください。

 

 

人がスムーズに生きていく為に不可欠なスキーマですが、次回は自己スキーマの一種である早期不適応的スキーマについてご紹介していきます。それではまた!

 

 

 

<今日の名言>

自分で自分をあきらめなければ、人生に「負け」はない。

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