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「見る」→「感じる」の心理学。認知心理学について

こんにちは。よしひろ(@dandoreator) です。

 

今回は認知心理学についてご紹介していきたいと思います。

心理学には様々な流派があり、現在では四大学派と言われる力動精神医学、人間性心理学、行動理論学、システム論的家族療法のいずれかの学派に属するケースが大半です。

 

それぞれの学派は考え方や治療法も様々ですが、認知心理学は「行動理論学」に分類され、現在では主流とされている学問です。

 

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認知心理学は「ある事柄」に対して、人がどのようなプロセスで事柄を理解するかを体系的に分析し、理解する心理学です。1960年代に勃興した学派で、「入力(インプット)」→「出力(アウトプット)」というコンピュータが作動するプロセスと似ていることから普及が進みました。

 

この認知心理学から発展した認知行動療法は1976年にアメリカのアーロン・ベックにより提唱され、1990年代には日本にも広まり2000年代から一般化してきました。

 

認知心理学では以下のように、事柄(状況)があって認知(思考)、そして感情がついてくると考えられています。

 

<例>道を歩いていたら、見知らぬ人にぶつかられた

事柄(状況):知らない人にぶつかられた

認知(思考):人にぶつかるのは良くない

感情    :①腹が立つ!(怒り)

       ②転倒しなくて良かった(不安)

       ③急な出来事に驚いた(驚き)

 

この時の思考は一瞬であり、怒りを選ぶか不安を選ぶか、驚きを選ぶかは人によって異なります。また、怒りの度合いも「ムッとする」から「殴りかかる」まで人によって様々です。この時の「事柄(状況)」→「認知(思考)」→「感情」の動きは自動的に発生するので認知心理学では「自動思考」と呼ばれています。

 

この自動思考のパターンは人それぞれです。「色眼鏡で見る」という表現がありますが、自動思考はまさに色眼鏡という事が可能です。起こった事柄は誰にとっても同じですが、それをどう考え、どんな感情を持つかは人によって違うからです。

 

自動思考によって、ぶつかる度に人に殴りかかるようでは日常生活に支障をきたします。このような極端な認知の仕方を「認知の歪み(自分自身に悪影響を及ぼす認知)」といいますが、この認知の歪みを矯正していくのが「認知療法」と言われる精神療法です。また、近年増加しているうつ病への治療はこの認知療法が中心となっています。

 

認知の歪みは「感情の癖」「感情のパターン」と言い換える事が可能で、その人が長年積み重ねてきた経験に基づいた思考法です。ですから簡単に変化させることは難しく、時間をかけて矯正していく必要があります。

 

特に「早期不適応的スキーマ」と呼ばれる子供時代から植え付けられた感情のパターンがある場合は自分自身の生い立ちから見直す必要があり、修正には相当の努力が必要です。しかしこの「早期不適応的スキーマ」を見直すことは自分自身を変えていくためには不可欠な事柄であることから、次回のブログでは「スキーマ」についてご紹介していきたいと思います。

 

それではまた!

 


<今日の名言>

今この瞬間にあなたが無常の喜びを

感じていないとしたら、

理由は一つしかない。

自分が持っていないもののことを

考えているからだ。

喜びを感じられるものは、

全てあなたの手の中にあるというのに。

 

 *1

 

 

*1:アントニー・デ・メロ インドの司祭