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人生で初めて「これってハラスメント?」と思ったら 〜ハラスメントの種類まとめ(2019年版)前編〜

こんにちは。よしひろ(@dandoreator) です。

 

ハラスメントという言葉をニュース等で見ない日が無いといっても過言ではないほどハラスメントが社会に溢れている現代。

 

ハラスメント について「何となく知っているけどよく知らない」という状態は、物事を正確に理解する上ではとても大きな問題となります。

「何となく」の理解だから「これくらい大丈夫だろう」と思って行動してしまう。

そして相手を傷つけ、自分自身も傷ついてしまいます。

 

これがハラスメントが増え続ける理由ですが、ハラスメントを受けたと思われてしまい、告発されてしまったら「知らなかった」では済まされません。

ハラスメントと向き合い、正しく理解する事で悲しい思いをする人が少しでも減るような世の中にしていくのが私の使命だと感じています。

ハラスメントの種類は年々多様化していますが、2019年6月現在での主なハラスメントの種類に関してご紹介していきたいと思います。

 

 1、ハラスメントの定義

「ハラスメント」とは英語で「嫌がらせをする・困らせる・悩ませる」という意味です。

 

その前に「パワー」や「セクシャル」など目的語がつくことで、何によって悩まされているかが分かる言葉です。

 

これだけ社会問題化しているので、国としてハラスメントの定義を明文化しているかと思って調べてみましたが、意外なことに厚生労働省法務省によって「パワーハラスメントパワハラ)」「セクシャルハラスメント(セクハラ)」が、厚生労働省によって「マタニティーハラスメント(マタハラ)」が定義されている以外は明確な定義がありませんでした。

 

参考:厚生労働省「職場のパワーハラスメントについて」 

  :法務省  「企業における人権研修シリーズ セクシャルハラスメント」

  :厚生労働省「職場でのハラスメントでお悩みの方へ(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)

 

この3点は職場におけるハラスメントについてを定義しています。

 

3点の定義をまとめると「行為者の意図に関わらず、相手方の尊厳を傷つけ、業務遂行にあたっての不利益を生じさせること」ということです。

 

「行為者の意図に関わらず」とは「自分がどう思ったかではなく相手がどう思ったか」ということです。

 

「そんなつもりじゃなかった」は通用しません。この自分と相手の認識の違いがハラスメントの大きな問題点ということができるでしょう。

 

次に「尊厳を傷つける」とは理解できるようで理解しにくい言葉なので、ここで少し掘り下げてみましょう。

 

 

2、「尊厳を傷つける」とは??

まずは辞書で調べてみました。

 

「とうとくおごそかなこと。気高く犯しがたいこと。また、そのさま。」

参考:Goo国語辞典「そん-げん【尊厳】の意味」

 

…ますます意味が分からなくなりました。

 

「とうとくおごそか」とはどういう意味かと調べてみると、

 

尊い」…価値が高い・貴重・敬う

 

「厳か」…重々しい・近寄りがたい

 

という意味であるということが分かりました。

 

ここから解釈すると尊厳というのは

 

「相手の人格(人間性)は敬わなければいけないし、軽々しく扱っては駄目だ」ということだと理解できます。

 

尊厳を傷つけるということは、相手の人間性を否定することに繋がるので、絶対に行なってはいけない事だというのがこの点からよく分かります。

 

これは日本国憲法でも第13条に記載されており、個人の尊重(尊厳)は国民として守るべきルールだと定められています。

 

ハラスメントにより相手の尊厳を傷つけることが、法律違反どころか憲法違反であることがご理解いただけたところで、代表的なハラスメントについてご紹介していきます。

 

 

3、三大ハラスメント

一般的に職場における三大ハラスメントが社会的に最も大きな問題を持つハラスメントとされています。最初にご紹介した「パワーハラスメントパワハラ)」「セクシャルハラスメント(セクハラ)」「マタニティーハラスメント (マタハラ)」です。

 

パワーハラスメントパワハラ

パワハラとは、職場において業務上の優位性を利用して相手方に精神的・肉体的な苦痛を与える行為を指します。業務上の優位性とは上司や先輩など明確に立場が上の人や、同僚でも自分より強い権限を持っている人が、相手方が逆らえない事を知った上で立場を利用した嫌がらせを行なっている事を指します。

 

セクシャルハラスメント (セクハラ)

セクハラとは職場において相手方に性的関係を要求したり、職場内にて性的発言を行う事で職場環境を悪化させる行為を指します。

セクハラは男女雇用機会均等法においても定義されており

職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否したり抵抗したりすることによって解雇、降格、減給などの不利益を受けること

性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に重大な悪影響が生じること

引用:厚生労働省「職場でのハラスメントでお悩みの方へ(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)

 

と定義されています。

 

マタニティーハラスメント(マタハラ)

三大ハラスメントの3点目は諸説ありますが、平成29年に男女雇用機会均等法と育児・介護休業法が改正され、職場でのマタハラ防止措置が義務化された事を受けてマタハラを三大ハラスメントとして取り扱いたいと思います。

 

マタハラとは産休・育休など出産育児に関する制度の利用によって配置転換を言い渡されたり、産休・育休取得に対して拒否されたり、期間短縮を迫られたり、ネガティヴな言動をされる事を指しています。

また、妊娠している状態そのものに対して精神的・肉体的な嫌がらせをされる事を指しています。

 

法律では以下の通り定義されています。

産前休業、育児休業などの制度や措置の利用に関する言動により就業環境が害されるもの(制度等の利用への嫌がらせ型)

性労働者が妊娠したこと、出産したことなどに関する言動により就業環境が害されるもの(状態への嫌がらせ型)

引用:厚生労働省「職場でのハラスメントでお悩みの方へ(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)

 

この三大ハラスメントが職場環境の悪化を招いており、ブラック企業に代表される働きにくい社会環境を生み出している諸悪の根源といえます。

このハラスメントを撲滅することが働きやすい社会の創出に繋がることは間違いありませんが、永きに渡って受け継がれてきた日本独自の風習や思考によって定着している事が事態を難しくしています。

この解決を諦める訳にはいきませんが、時間や世代をかけて取り組んで行かなければならない大きな課題だと考えています。

 

後編は、その他にはどのようなハラスメントがあるのかを一挙にご紹介していきたいと思います。

 

それではまた!